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バックナンバー(2008年8月号)
インタビュー
劇団きまぐれ 台本作家
山内 豊佳(やまうち とよか)さん

中学・高校在学中、演出家 水野誠子の指導を受ける。
1981年、劇団きまぐれ第二回公演「ピーターパン」より、役者および脚本担当として参加。
以来、劇団の上演のために、時代をテーマにした創作を続ける。
名古屋市まちづくりフェスティバルや、デザイン博愛知建築士会パフォーマンス、
伝統的家屋など劇場以外の場所で公演する、まちんなか演劇祭などで脚本家として参加。
主な作品に「ロストチャイルド」「コノ星の王子さま」「エンガワ」など。
現在は、台本作家としてはもちろん、まちづくりコンサルタントや、フリーライターとしても活躍中。
台本を作るときには先ず、劇団の皆でテーマを決めることから始めます。 演出家や劇団員たちと意見を出し合いながら、バトルするかのごとくとことん話し合い、 全員が納得できるテーマを一つにまとめること、これはものすごく大変な作業ですが、 ここを妥協してしまうと、絶対によい台本にはならない!と私は信じています。
台本作りを通じて、日常では話すことのないような深い話を、真剣に語り合える・・・、 この職人のようなコツコツとした作業が、実は私は一番好きで、多分それがお芝居をやめられない理由なんだと思います。
中学時代の演劇部の仲間と、部活の延長のような感覚で演劇に携わり、もともと演出指導で中学にも来ていた大先輩の主宰する劇団に所属しました。 私は第二回公演の「ピーターパン」という創作から、台本作りに関わりました。 舞台上での話は架空のものであっても、お芝居は関わる人全ての想いが重なって出来ています。 ですからよく観てくださった方から、シーンや台詞の中に自分自身が重なった、という感想をいただきます。 自分の経験や忘れていた過去、気づかないふりをしていた現実とか・・・。 結構打ち明け話のようなときもあり、今まで知らなかったその人の違う一面に驚くこともあります。
お芝居を見終わった帰り道、お客様が何を受け止め、何を想って帰るかは人によって本当に違います。 私の話は基本的にお笑いが多いお芝居ですから、楽しい気持ちになってもらいたいですが、観た方が、 その人なりの何か気づきや答えをみつけるきっかけにもなってもらえたら、最高にうれしいですね。
台本づくりを通して、いろいろな人や世界に向いていけること、それが自分の財産だと思い、ずっと忙しくバタバタしてきました。 でもちょっとしたことがきっかけで、最近ふと自分の両親のことに目が向いたんです。 それで一度、自分の環境や気持ちの変化を整理してみたくなったからか、昨秋、劇団の30周年記念公演という節目に、 もう一度「ピーターパン」を題材にしたものが書きたくなりました。10代の頃に皆で書いたのは、 冒険を夢見る若者たちの話でしたが、30年経ったら孤独な老人たちの話になりました。
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その舞台は捨てられないものがあふれかえったゴミ屋敷の中。 社会や家族に捨てられた、何人ものホームレスの老人たちが寄り添い暮らし、自分たちの最後の「居場所」を必死に守ろうとする姿に、 次第に心動かされていく中年女性の話で、この女性たちは自分たちをモデルにしました。
自分たちの仕事や健康、確実に老いてくる両親のこと、もう目をそらすことが出来なくなってきた現実、 不安や迷いとどう向き合っていくのか?そんな生き方をストレートに考えてみようと、 この話に「トレジャーハント(宝物探し)」というタイトルをつけたのです。 だからこの話のラストシーンは、観ていただく人それぞれに答えをだして頂けるようにと思って書きました。
結局、お芝居は「自分もこんな勇気があったらいいな、こうなりたいな」と思う希望を台本にし、舞台にのせているんですね。 特別何かができるわけでもないし、はっきり言ってそんなに立派な人間でもない。 でもいろいろ考えたり、気づいたりはするし、もっとよい自分でありたいという願望はきっと誰にでもありますよね。
私は自分が夢中になれることを探してここまで走ってきて、人生の折り返しみたいな年になり初めて、自分の一番身近なところにやっと目が向きました。 ずっと元気でいてくれたおかげで、自分の両親にも、今までちゃんと向き合わずにきてしまったのでしょうね。 今はほんの少しでも、両親の不安を取り除くというか、頼りにしてもらえる存在になれたらな、と思っています。
いろんな話を考えてきて、やっとこんなテーマに気づけるようになったんだと思うと、年を重ねることも案外悪くないなあと感じています。